昔のひとは、腐った草が蛍に生まれ変わると信じていたそう。
本格的な梅雨の季節に入り湿って蒸し暑い空気がまとわりつく季節。
太陽が西に消え夜の帳が下りてくるとほの暗い草むらから、
ほのかな幻想的な光を放ちながら、蛍が舞い上がります。
夜の闇の中を儚げな黄色の光を明滅させて飛ぶ蛍の姿は、たいそう幻想的で、
不規則なその光がふっと消え、漆黒の闇になったときに
何やらひんやりとした風を感じるのは私だけでしょうか。
この螢の神秘的な黄色を「籐黄(トウオウ)」と言うそうです。
東南アジアが原産の「オトギリソウ」からつくられた中国の伝統的な顔料。
大変鮮やかな黄色で、日本でも友禅染めや日本画の絵の具に利用されてきたそうです。
オトギリソウ(弟切草、学名:Hypericum erectum)は、
和名の由来は、この草から作られる薬の秘密を漏らした弟を
欧米ではオトギリソウ属の植物をSt. John's wortといい、
洗礼者聖ヨハネの祝日(6月4日)の前夜、
この薬草を摘んで悪魔払いをする習慣があったそうです。